Column:コラム

‘アツい’ドラマの背景

 また、このドラマには法廷ミステリーとしての魅力もあります。法廷ドラマのよさは何かというと、事件の真相に白黒つける爽快感もありますが、やはりそこで浮かび上がる人間模様の深さというか、そこにドラマ性があるから「JAG」は見ごたえがあります。

只、犯人は「俺は国のためにやったんだ」的な、ちょっとアツいオチが多いかもしれません。最近、そういうアツいドラマというのも珍しくなってきたので、これはこれで貴重な見ものであるとは思いますが。

というのも、このドラマを企画・製作総指揮しているプロデューサーが、ドナルド・P・ベリサリオっていう人なんですが、彼自身、海兵隊出身で、41歳の時に脚本家デビューしたという、いわば異色のクリエイターなんですね。これまでに彼が参加したドラマは、日本でもようやくDVDが出た「私立探偵マグナム」というハワイが舞台の探偵ものがあります。主人公のマグナムはベトナム帰りということで戦争を背景にしたエピソードが多いドラマでした。またベリサリオの代表作には「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」があります。これは地上最強といってもいい戦闘ヘリが大暴れするアクションで、日本でも80年代にゴールデンタイムで放送されたので今でも非常に人気が高いドラマです。これも主人公のストリングフェロー・ホークはベトナムで兄が敵の捕虜になった設定で、CIAに兄を探させるため、引き換えにエアーウルフを操縦するというアツいドラマでした。そんな男気あふれるドラマが得意なベリサリオだからこそ、「JAG」は今どき珍しく芯が通った、骨太のドラマに仕上がっているといえます。