Comment:コメント

岡部いさく氏からの推薦コメント

軍事評論家:岡部いさく氏

軍事評論家:岡部いさく氏

1954年、浦和市(現さいたま市)生まれ。
学習院大学フランス文学科卒。航空雑誌「エアワールド」編集員、
艦艇雑誌「シーパワー」編集長を経てフリー。「世界の艦船」、
「航空ファン」などに寄稿。著書に「世界の駄っ作機」など。
フジテレビのニュース番組で軍事・防衛問題の解説を行う

 「JAG」の楽しみ方はいろいろある。なにしろアメリカのTVドラマのお家芸ともいうべき犯罪捜査ものドラマであるうえに、やはり伝統の戦争・軍事ドラマの系譜に連なる作品だから、面白くないわけがない。昔から「刑事コジャック」や「コンバット」、もっと言えば「ジェットパイロット」や「シカゴ特捜隊M」(リー・マーヴィン主演……誰も知らないだろうな)にハマっていたワタシなんかにしてみたら、アメリカ海軍で犯罪捜査官ときたら、もうこれはたまらない。
 そんな基本設定に加えて、「JAG」の面白さは、空母や航空機、潜水艦や各種軍艦のリアルな映像の数々にある。それもそのはず、そういった兵器関連の映像には、アメリカ海軍の公式広報映像がふんだんに使われているのだ。空母艦上での戦闘機や攻撃機の離着艦や、原子力潜水艦の艦内など、普通じゃなかなか見られないシーンが楽しめる。あるエピソードじゃロシアの新鋭戦闘機スホーイSu‐27が超低空を飛び回るという、メーカーから提供の迫力ある映像がたっぷり堪能できた。

もちろんドラマの中では、実在の現役の軍艦や部隊を出演させるわけにはいかないから、使われる映像も架空の艦や航空隊として利用されている。その架空の軍艦の名前などがまた、いかにもそれらしく設定されてるから、細かく見ていくと楽しい。空母「パトリック・ヘンリー」というのがときどき出てくるが、これは独立戦争時代の英雄の一人の名前で、実際には1960年代のミサイル原潜の艦名にもなっていて、今どきのアメリカ海軍の空母にあっても不思議じゃない。そんな細かいところまでリアリティを持たせようとしているスタッフの心配りが嬉しいじゃないか。
エピソードのテーマも、開発難航していた新型機V‐22に批判的な議員が出てきたり、女性兵士への差別やハラスメントが事件になったり、今のアメリカ海軍が直面するいろいろな問題が描き出されているのも面白い。

それに主人公のハーモン・ラヴ中佐が元戦闘機パイロットという設定だから、航空基地のシーンでは実物のF‐14トムキャット戦闘機がふんだんに出てくるのも楽しい。トムキャットは最近アメリカ海軍から全機退役して、一部は博物館など民間に払い下げられている。「JAG」のプロデューサーも撮影用の大道具として1機購入したそうだ。ところがそのトムキャット、部品を外してイラン向けに不正輸出されるんじゃないかと懸念したアメリカ政府によって、今年の3月に差し押さえられてしまった。変なところにアメリカとイランの緊張が影を落としたりしてるわけだ。
そのトムキャットに代わって、今ではF/A‐18E/Fスーパーホーネットという戦闘攻撃機が配備されているんだが、ラヴ中佐もそのうち新しいシーズンではスーパーホーネットに乗るようになるんだろうか?っていうのも海兵隊出身の猛者マッケンジー中佐のサービスショットともども、今後の「JAG犯罪捜査官ネイビーファイル」の楽しみだ。