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映画で乱闘シーンの舞台になったテヴェレ川。水辺のパーティで大乱闘に巻き込まれたペックとヘップバーンがテヴェレ川の冷たい水面に転落してしまうシーンで、ウィリアム・ワイラー監督は最初のテイクに納得せず、何度も繰り返して撮り直しを行った。二人は監督が最終的にOKを出すまで、10回以上も川に飛び込まなくてはならなかったという。苦労の甲斐あって素晴らしく愉快なシーンが完成したものの、ペックとヘプバーンは当時を思い出す度に体の震えが甦るのを感じてしまうそうだ。 |
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史上初めて映画の舞台としてスクリーンに登場したパラッツォ・ブランカッチオは、18世紀に建てられたローマ有数の宮殿として広く知られている。舞踏会のシーンは、宮殿内の大広間を使って撮りあげたもの。製作も兼任したワイラー監督は、『ローマの休日』の撮影をすべてローマで行った。 |
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イタリア語で「ネズミ」を意味するトッポリーナという言葉は、フィアット社が生産する小型車の名前としても知られている。この車はとにかくコンパクトで、乗り合わせた者同志の膝や肘が触れ合うほどに車内が狭い。『ローマの休日』には、トッポリーナの狭さを物語るシーンが登場している。グレゴリー・ペックとエディ・アルバート、そしてオードリー・ヘプバーンの三人が、狭い車内でぴったり身を寄せ合ってローマの町を疾走しているのだ。長身のペックが身をかがめて車から降りる姿は、映画にコミカルな味を添えている。 |
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『ローマの休日』の撮影でスタッフが最もてこずったのは、グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンの二人がローマの町をスクーターで駆け抜けるシーンだった。このシーンを撮影しようとする度に、陽気なイタリア人たちがスクーターに乗って二人を追いかけてきたという。主演スターに手を振ろうと近づいてくる人たちがフレームに入り込んでしまうため、ウィリアム・ワイラー監督は何度も撮り直しをせざるをえなかった。 |