■ドミニカに捧ぐ
最大の当たり役『ワイルド・スピード』のドミニク・トレットは設定上ラティーノ(たぶんメキシコ系)だが、本人はラティーノではない……それがヴィンさま。だが、スペイン語圏カリブ海の国家、ドミニカ共和国を愛してやまないという。
そのヴィンさまは、10年ほど前に時のドミニカ大統領レオネル・フェルナンデスに「どうやったらハリウッドの映画産業を我が国に誘致できるだろう?」と相談された。つまり「映画による国おこし」だな。だがヴィンさまは「スタジオを作るのもいいが、映画を作れる人材を育てないと」と助言。「魚を与えるより、魚のとりかたを教えるべき」という道教的なロジックである。
そんなわけで、ヴィンさまが資金の大半を担って設立されたのがOne Race Global Film Foundationであり、そのワークショップ・プログラムはヴィンさまの継父がニューヨーク大学で教えているコースに着想を得たものだとか。
こうしてヴィンさまが撒いた種子は着実に実っている。まさに、そのドミニカでかなりの部分を撮影した本作『トリプルX:再起動』には、このワークショップを経て映画業界入りした人々が関わっているのだ!
こんな美談、本当にあるのだなあ。