リドリーとトニーを惹きつけたのは、これが兄弟についての話だったからだと思う
[デビッド・クラムホルツ]
この役を演じることができるなんて夢にも思わなかったよ。なぜなら、ぼくはこれまでほとんどコメディばっかりやってきたからね。数学者がどんな人たちかを理解するために、カルフォルニア工科大学を1人で何日もブラブラしながら授業を覗き見したこともあったよ。あと、実際に会った数学者たちからもすごい影響を受けたね。
ドラマの中の数学に関しては、(世界的に有名な統計学者)ゲーリー・ローデン率いるコンサルタントチームが監修を行っている。だから、ドラマで使われている数学の論理はすべて本物だよ。彼らが数学を捜査に応用する適切な方法を思いつかない時は、世界中にたくさんのコネクションを持っているゲーリーが、日本やインドの科学者などからアイデアをもらうんだ。
このドラマが兄弟愛を描いているのはとても重要だ。普通こういったドラマだと、FBI捜査官が知り合いの数学者に協力を仰ぐ、といった内容になりがちだよね。決して2人が兄弟である必要はないんだ。だけどプロデューサーは、他の犯罪ドラマとは違って家族の視点で描かれるものにしたかったんだ。家族の存在がいつも主人公たちに影響していて、それがドラマにハートをもたらしている。たぶん、それこそが多くのファンがこのドラマを好きな理由なんだと思うよ。
リドリー(・スコット)とトニー(・スコット)を惹きつけたのも、これが兄弟についての話だったからだと思う。彼らが兄弟だからこそ、こういったコンセプトが作られたんだ。例えば、ロブとぼくがケンカをするシーンがあったとする。兄弟間のそういった瞬間を演技で見せるのはたやすいけど、彼らはそれ以上のものを見たいんじゃないかな。ただの断片的な芝居じゃなく、本物の兄弟の“絆”のようなものをね。もしかしたらドンとチャーリーのように、リドリーとトニーも時々、意見が合わなくてぶつかり合っているのかもしれない。でも、2人は兄弟として強い絆で結ばれている。だからこそ、ドラマでもそれが見たいんだと思う。ドンとチャーリーが時には衝突しながらも、お互いの能力を高め合っていく姿をね。
数学的なことが文化に関わっている時代だから犯罪ドラマと数学を組み合わせるのもうなずけるよ
[ロブ・モロー]
ぼくが演じる兄のドンは比較的聡明な人間だけど、弟のチャーリーは並外れた存在、つまり天才なんだ。お互いに尊敬し合っているけど、兄のほうは弟ほど賢くないというコンプレックスを持っている。でも一方で、兄として弟のことをいろいろ心配もしている。彼の性格が社会生活を送るのに少し問題があると感じているからね。そこに面白い葛藤があるんだ。ドンが事件を仕切っているけど、弟の知性に従わなきゃならない。そうした2人の関係がドラマにいい緊張をもたらしているんじゃないかな。
ドンは社会をよりよくするために、自らの私生活を犠牲にしている。それって古典的なヒーローの定義だけど、彼にもそういうところがある。彼に誰かと恋愛関係にならない理由を聞くと、そんなことに時間を割く余裕がないからだとか、仕事の重荷が過剰だからとか答えると思うんだ。でも彼は、つねに世界をより良い場所にしようと努力していてる。それはドンの興味深い特質だよ。
(『NUMB3RS』のようなドラマが生まれたのは)たぶん、数学的なことが文化にも深く関わっている時代だからじゃないかな。コンピュータと2進法の世界と数学が世界的規模で日常生活に影響をおよぼしているのは明白だし、手を伸ばせば誰にでも届くところにある。犯罪ドラマと数学を組み合わせるというのもうなずけるよ。
リドリーやトニーとはよく話をするよ。私生活ついてあまり知らないけど、兄のリドリーのほうはわりと保守的というか、より伝統的。トニーは野生児系だよ。彼はチャーリーのようにインテリじゃないけどね。でも確かに、ドラマには2人の兄弟関係みたいなものが反映されているんだ。
素晴らしいことに、エピソードが進むにつれ、だんだん作品が良くなってきているんだ。より深く、豊かになっている。それはこういったタイプのドラマでは珍しいことじゃないかな。だからワクワクしているよ。ドンが恋愛関係に消極的な理由とか、彼の秘められた過去や人間性が、シーズン2の終わりやシーズン3で本当に明らかになるんだ。この作品は、制作者側にも、視聴者にとっても、まだまだ面白くなる余地が十分にあると思うよ。
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