パラマウント・ピクチャーズ

エイリアニスト NY殺人ファイル

日本語吹替キャスト 内田夕夜(ラズロー・クライズラー役)×東地宏樹(ジョン・ムーア役) オフィシャルインタビュー

「SUPERNATURAL」でお馴染みの内田夕夜&東地宏樹が、
海外版・江戸川乱歩「エイリアニスト NY殺人ファイル」で、名コンビとしてプロファイリング!

ダニエル・ブリュール、ルーク・エヴァンス、ダコタ・ファニングなど豪華映画スターが共演し、謎の連続猟奇殺人と腐敗した街NYに渦巻く凶気に挑み、想像を絶した事件の闇にプロファイルする最新サイコスリラー「エイリアニスト NY殺人ファイル」。待望のDVDがリリース中。

精神病の研究者が“エイリアニスト”と呼ばれる19世紀末、NYを舞台にエイリアニストのラズロー・クライズラー(ダニエル・ブリュール)、新聞社のイラストレーターであるジョン・ムーア(ルーク・エヴァンス)、女性として初の警察職員であるサラ・ハワード(ダコタ・ファニング)とそれぞれ異なる職種の面々が協力し、プロファイリングや科学捜査という当時では画期的な手法で猟奇殺人を解決していく……。

日本語吹替版では、クライズラー役を内田夕夜さん、ムーア役を東地宏樹さんが担当。「SUPERNATURAL」シリーズで兄弟役として息の合った演技を見せ、多くの海外ドラマファンを魅了するお二人に、本作やキャラクターの魅力、見どころなどを語ってもらった。

――本作の吹替えについて、オファーを受けた際に作品についてどのような印象がありましたか?

東地:最初に題名だけ聞いた時、「NY殺人ファイル」という副題もなかったから、エイリアンが関係している作品なのかと思ったんですよ。「“エイリアンニスト”って何?」って(笑)。

内田:さすが東地さん(笑)。現場でも何人か同じ事を言っていましたよね(笑)。

東地:「エイリアンはいつ出てくるんだ?」みたいなことも言ってましたね(笑)。

内田:僕はダニエル・ブリュールさんの吹替えを何作かやらせて頂いていたので、またやれるという嬉しさはありました。それと、映像が美しいですね。

――製作総指揮のキャリー・ジョージ・フクナガらしい、陰惨な雰囲気がありながらも、映像の美しさも印象的な作品ですね。

内田:第1話の冒頭で雪の中に赤い血がポタッと落ちるシーンのように、映像的に美しさがありながらも、怖さがあるという感じでした。

東地:僕もルーク・エヴァンスさんの吹替えを何回もやらせて頂いていたので、彼が出演しているからオファーを頂いたんだと思いました。19世紀末を舞台にしていて、海外版・江戸川乱歩と感じました。ダークで耽美的なものが好きな人にはハマる作品だなという第一印象でしたね。

――台本を受け取って実際に作品をご覧になった時の感想は?

内田:プロファイリングや科学捜査というのは今でこそ当たり前の捜査手法ですけど、この時代の人たちがなぜそれを認めていくのかがちゃんと描かれていて、ご都合主義じゃないなと思いました。

東地:ディテールがすごくしっかりしている作品です。

――クライズラーは精神科医として最先端の研究をしていることもあって、科学捜査を行うアイザックソン兄弟(ニューヨーク市警刑事)を捜査班の仲間として迎え入れることにも戸惑いはないんでしょうね。

内田:最先端の勉強をしているんですけど、その時代にとってクライズラーが最先端かどうかは分からないんですよね。クライズラーは正気を失っているかもしれないけど、ただ結果は残しているので、NY市警総監のルーズベルトはその結果主義を選ぶしかなかったという感じですかね。人の感情を知ろうと思って検視で脳を切るシーンもあるじゃないですか。でも、そのやり方で人の感情を知ることができないのは、今の僕らは知っているけど当時の彼らはまだ知らないんですよね。

東地:プロファイリングの手段として実験的にやっているんでしょうね。クライズラーは悪人ならどうするのか彼らの思想から悪人になり切ろうと、失敗したり、解決法を見つけたりをずっと繰り返しているんですよね。各専門分野の人たちが集結し、謎を紐解いていくことが魅力であり、そこに面白みを感じながら演じていました。プロファイリングの元祖ですね。だから、失敗が多くてなかなか捜査が進まない(笑)。

内田:同じ時代を扱っている「シャーロック・ホームズ」は当時の人が書いたものが作品になっていますけど、この作品の原作者ケレイブ・カーは現代の作家なので、そういった面白みが入っていますね。

――犯人を見つけてこれ以上犠牲者を出したくないという正義感はありますが、純然たるヒーローという感じではありませんね。

東地:クライズラーやムーアたちはヒーローという感じではないですよね。間違いなくクライズラーとムーアはケンカが弱いでしょうね。ムーアにいたっては、飲んだくれだから…(笑)。

――いろいろな作品でダニエル・ブリュールとルーク・エヴァンスの吹替えを担当されていますが、今回の役を演じる上で意識された点、準備された点など教えてください。

内田:『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では悪役でしたけど、彼の視点からすればアベンジャーズが悪だから復讐するという役で、『グッバイ、レーニン!』では本当に誠実な男の子という感じでしたし、『二ツ星の料理人』では東地さんの演じる役と恋愛関係だったよね。

東地:恋愛関係というか、僕が吹替えていたブラッドリー・クーパーの役に、ダニエル・ブリュールがゲイで恋している役でしたね。

内田:本作では相手役が東地さんだと聞いていたので、東地さんなら何を投げても大丈夫だと安心はしていたんですよ(笑)。

東地:いえいえ(笑)。ありがとうございます。

内田:だから、クライズラーという役ではステレオタイプ的な変わった人にはしないように気をつけました。クライズラーは上から目線でものを言うんですけど、単純に上から目線でものを言っているという風にはしたくなかったんですよね。

――クライズラーには使用人が3人いますが、3人への接し方も単純な上から目線とは少し違いますよね。

内田:そうなんですよ。彼としてはものすごく丁寧に使用人に言っているはずだろうし、思いやりもあります。この事件を解決したいならこうするべきだ、これしか道がないとはっきり言っているだけなんです。だけど、相手にしてみると厳しい言い方に感じますよね。でも、「こうやったら上から目線でしょ?」という単純な演技をしちゃうと、ちょっとつまらないなとは考えていました。

――ルーク・エヴァンスが演じるジョン・ムーアについてはどうですか?

東地:僕はルーク・エヴァンスさんの吹替えを多数担当したわけではないですが、今までは責任感が強かったりとか、気張った感じの演技をするキャラクターが多かったんですよ。でも、この作品ではすごく人間味が溢れ、柔らかさもありますね。過去にお兄さんが亡くなっているとか、婚約者に振られて別れたなど、やさぐれてしまった感じもありますが、男娼の少年に親身になったりと優しい人間です。ルーク・エヴァンスさんの役でここまで人間らしい役だとは思わなかったですね。

――そのムーアを吹替える際にはどのようなことを考えましたか?

東地:収録に行ったら、夕夜さんのダニエル・ブリュールを吹替えている感じが、本人の演技よりも静かだったんです。それで、こう来るんだなと思った時に、僕はより人間味を出したほうが面白いんじゃないかなと考えたんですよ。時代的なものは意識しつつ、ちょっと軽妙な感じの存在になればいいなという事を意識しながらやりましたね。

――19世紀末を舞台にした作品ということで、現代を舞台にしたドラマとは違った口調とかセリフ回しも感じましたが、何か演技について考慮したことはありますか?

東地:言葉遣いはやっぱり丁寧にしたほうがいいなとは思いました。それと、この人たちのファッションなどにもその時代の品というものがありますからね。悪徳警官もいますけど、全員にそういう雰囲気があります。

内田:僕は舞台に出演する時に自分でメイクをするんです。時代劇のカツラをかぶって着物を着ると普通のメイクだと負けるので、ちょっとオーバーにメイクをしますが、その感覚ですね。時代物を演じる時って、普段着ではないという感覚なんですよ。言葉で説明しづらいんですけど、メイクはしているけどニュアンスが違うという時代物特有の感覚というのは確実にあるんですよね。

――最初の収録での役作りはどうでしたか?

内田:東地さんが「本人よりも静かだ」という風におっしゃっていて、すごく嬉しかったですね。第1話の最初の、相手がどう出てくるかも全く分からないし、ミキサーさんがどう録ってくれるかも分からない。

東地:そうですね。

内田:演出家がOKなのかも分からないから究極的なアプローチをして、「もっとこうしてください」とかアドバイスをもらうんですよ。そこで、この作品では静かめに僕が演じたぶん、東地さんが逆に大きく動いてくれたから作品としてのバランスが取れて、成立したのではと思っています。東地さんが自分を見て動いてくれたからすごく嬉しかったです。

――それでは、収録の最初のテストでスムーズにOKが出たんですか?

東地:でも、ムーアの演技については「ちょっとやり過ぎかな」というのを少し悩まれていた気配がスタッフ側に最初はあったんですよ。

内田:「どうする?」みたいなね。

東地:でも結果的に、「それで行きましょう」と言ってくれたような感じはありましたね。

内田:クライズラーとムーアにとっても最初の出会いのバランス取りなので、うまく合致したのかもしれないなという感じがありますね。

――収録の第一声というのは緊張感や難しさがやはりあるんですね。

内田:収録前に、「おはようございます。私がエイリアニストです」ってクライズラーの声でよく挨拶していたんですけど(笑)。やっぱり僕のキャラクターが決まらないと、周りも決めようがないというのがありますからね。だから、僕が最初にこの方向ですとガッチリ決めなきゃいけなくて、それも責任だと思うんですけど、でも果たして僕のアプローチがそのままで良いのかと…。だから今回の最初のやりとりで「ありがとう、東地さん」みたいなものがありました(笑)。

東地:いえいえ(笑)。そう言って頂けてうれしいです。

――本作はエミー賞、ゴールデングローブ賞ほか、数々の受賞やノミネートされ、作品のクオリティーに関してもとても評価が高い作品ですが、その点を演じていてどういうところに感じましたか?

東地:収録していた頃にとにかく話題になったのが、アメリカでの放送局であるTNT(ターナー・ネットワーク・テレビジョン)という局のことですね。

内田:言ってみれば日本の地方局が全国ネットの作品を作ったみたいな。

東地:「なのにすごく豪華だぞ!」って。キャスティングもすごいし、エキストラの使い方とかセットもね。

内田:予算をかけているなという感じですね。

――時代物の作品の背景などで最近はCGがよく使われますが、本作はどこまでがCGでどこまでが実際のセットなのか分からないぐらい、あらゆる面ですごいクオリティーですね。

内田:ダニエル・ブリュールさんは本当にいい役者さんだと思うので、彼に対して声を当てるというプレッシャーが最初はなくはなかったんですけど、収録が進むごとにこの作品の高いクオリティーを自分たちが下げるわけにはいかないというプレッシャーみたいなものがありましたね。それが楽しさでもありましたし、やりがいでもあるし、本作に関われる嬉しさでもありました。

――シーンの一つ一つが大作映画のような作品でしたが、それを吹替える収録現場の雰囲気はどうでしたか?

東地:クオリティー面だけでなく、この作品は本当に面白いんだなという実感もありました。向こうの役者が演じていることに関してクオリティーを下げたくないという気持ちはあるんですけど、そうするためには何が必要かといったら、チームワークなんですよね。この作品はチームワークの話でもあるんですよ。今回一緒に吹替えた人たちが初共演が多くて、新人の人も結構いたんですけど、飲みに誘ってもみんな来てくれたりしてチームワークが良かったので、やりやすかったですね。収録現場でも「次どうなるのかな?」「こうなんだ!?」とゲラゲラ笑いながらの楽しい雰囲気でした。

内田:そうそう。よく笑っていましたね。

東地:面白い作品にしたいという気持ちとチームワークが必要な作品でしたけど、収録現場のチームワークが良かったから、相乗効果がでればと思いながらやっていましたね。

――チームワークというところでは、お二人の共演ということで海外ドラマファンは「SUPERNATURAL」シリーズを思い浮かべる方が大勢いると思います。同作で長年、兄弟役として共演されていますが、本作で再共演されていかがでしたか?

内田:「SUPERNATURAL」の吹替えで年に一度は必ず会う関係なんですよね。

東地:年に一度、年明けから半年ぐらい週に1度は必ず会っているので、久しぶりの共演ではないですね。作品の種類も違うし、何よりも兄弟じゃないし(笑)。ただ、別の作品でも全く意識しないでできるんだなということは再確認しましたけどね。

――逆に周りの共演者の方々のほうが意識したりとかはあるんじゃないですか?(笑)

東地:それは聞いたことはないな(笑)。

内田:「サム(弟・内田)とディーン(兄・東地)がしゃべってるよ」みたいな(笑)。僕は別にサムとディーンということを意識していないですけど、相手が東地さんだと“ラッキー”みたいなぐらいの感じですよ(笑)。

東地:いえいえ、お互い様ですよ。

――吹替版のクライズラーとムーアの掛け合いも、息ピッタリですよね。

内田:どんなアプローチをしても東地さんは絶対に怒らないですからね。

東地:それは怒らないですよ(笑)。本当にお互い様ですから。

内田:そこなんですよね。良い作品にするためにというやり方を根っこから説明しなくていいというのはありがたい関係です。

――性格も全く異なるクライズラーとムーアですが、お互いはどのような存在でしょうか?

内田:感覚としては、ムーアはクライズラーにとっての“出入り口”なんですよ。クライズラーは自分の壁が高い人で、それを自分でも意識している人なんです。それが強みでもあり、弱みでもあり、プライドの壁でもあるんですけど、自分と世間とを一番つなげてくれる人という感覚ですかね。ムーアは人づきあいもちゃんとできるじゃないですか。でも、クライズラーはそれができないことを自覚していて、ムーアに憧れもあるし、嫉妬心もあるんだけど、逆に哀れんでいる部分もあったりするんです。でも、そういう感覚をムーア以外の人にはクライズラーは絶対見せないし、ムーアにはそれを見せてもちょっと許されるところがあるんですよね。

――複雑で哲学的なキャラクターですね。

内田:だから、自分が世間ずれしていることを認識しているので、彼にとってのムーアは世間に対する“出入り口”なんです。

――クライズラーは家にこもっている生活が多くて、ムーアを通して世間とのやり取りをしていますよね。

内田:クライズラーは感情や思考にすごく興味があって研究しているからこそ、人間に対する恐怖心や嫌悪感として、自分の周りをナイフでグッと削って、そこから先は誰も入れないみたいなラインがあるんです。だけど、そうしていたら自分も外に出られないということも分かっている。だから、唯一削ってないところがあって、そこがムーアという感じですね。他の人がムーアと同じことをやったらクライズラーはその人から離れていくだけですけど、ムーアがやったら、もしかしたら自分が違うのかもと考えるというか。

――ルーズベルト総監も2人の同級生ですけど、クライズラーのルーズベルトに対する扱いは明らかに違いますね。

内田:クライズラーはルーズベルトのことを認めているけど、あっち側の人って感覚だから、ちょっとムーアとは立ち位置が違いますね。

――ムーアにとってのクライズラーという存在は?

東地:第1話で、クライズラーに呼ばれて殺人現場に行くところから始まるんですけど、大学時代をどう一緒に過ごしたか全く分からない状態からスタートしているんですよね。それで、どうなっていくのかと思いながら展開を見ていたんですけど、そこはあまり語られないので、もう暗黙の関係なんだなと感じました。そこにまた警察にはルーズベルトという同級生がいるという設定が面白いじゃないですか。それで、クライズラーとの関係がどう見えていくかは多分そこに描かれたセリフと、その状況で見えて来ると思って演じていて、いいバランスだなとまず思えたんですよ。ムーアは正義感が強いんだけど、だらしない生活をしていて、クライズラーに誘われてこういう事件に加わることによって、少しずつ更生していくという姿が描かれているんです。そこで、同級生の時とかの関係も見えるのかなというのがありますね。

――学生時代の回想シーンもないにもかかわらず、なんとなく感じられるものがありますね。

東地:2人は些細なことで揉めたりして、クライズラーに叱られてムーアは仲間から一度外されるんですよね。でも食い下がってつながっていくというのは、同級生だったからなんだなと思います。大学時代もそうやってきたのかなと。腐れ縁じゃないですけど、どこかで認め合っている部分があるわけで、もしかしたらムーアはクライズラーの置かれている環境のことも知っているんじゃないかな。それをセリフで語るシーンなんかは無いと思うんですけど、暗黙で知っているからこそ、そういう付き合いでクライズラーもムーアのことを知っているわけですからね。それに対して、クライズラーにはムーアへの優しさというものはないですけど(笑)。

内田:優しさはないよね(笑)。

東地:ムーアのプライドに対する優しさは皆無ですけど、そこはそういう人でも仲良くなるパターンがあるので面白いですし、ルーズベルトとの関係もバランスよくて面白いですよね。

――サラ・ハワード役を演じたうえだ星子さんとの共演はいかがでしたか?

東地:僕が「ER緊急救命室」をやっていた時の娘役だったんですよ。だから、この作品で彼女を好きになる役をやるとは思わなかったですね(笑)。

内田:僕もご一緒したことはありますけど、そんなに存じ上げてはいなかったんですよ。ただ、東地さんが星子(せいこ)さんのことを「おう! ほしこ」と呼んでいて、東地さんはすごくよく知っていらっしゃる間柄なんだなと思って、東地さんを介していつのまにか僕も「ほしこさん」と呼ぶようになっていました(笑)。星子さんも普通に「はい!」と返事をされますし(笑)。現場というか、飲み屋でのやり取りが多かったですけどね(笑)。

東地;そうだったね(笑)。それと現場とかで気になることがあるのを星子に言うと全部反映させてくれるんですよ。マイク前に息がかからないようにするフィルターが汚れていると話したら、休憩になった瞬間に星子が「言ってきた!」と、ミキサーさんが拭いているんですよ。そのままにしておくというのが気になるという感じで、ちょっとサラとシンクロするところがある方ですね。それと、星子が原作の小説を読んでくれていたんですよ。

内田:だけど、台本をもらった部分までしか読まないんですよね。誰が犯人かとか謎や結末までは知らないように読んでいましたよね。それを承知の上で、何回も星子さんに「誰が犯人なの?」ってみんなで質問していたりしていましたね(笑)。

――ダコタ・ファニング演じるサラとの関係性がどうなるのか、序盤には三角関係的な展開もあって興味深いですが、クライズラーとムーアにとって、サラの存在とはどのようなものですか?

東地:最初、サラはクライズラーに気があるような感じでしたね。

内田:そう、三角関係的な展開がありますよね。それにダコタ・ファニングですよ! 「I am Sam アイ・アム・サム」の子役の印象があるので、こんなレディになったのかと思ってビックリしました。時代設定として、あの時代の中で女性が働いているんですよね。しかも警察の中で。

――警官たちからセクハラを受けるシーンとかもありますよね。

内田:でも、そのセクハラに対してお見事というぐらいにしっかりと切り返していますよね。でも、サラがたとえ男性であったとしてもクライズラーは認めていると思うんですよ、彼女の働き方や能力などの全てに対して認めているんですよね。

――第1話でムーアがクライズラーをサラに紹介するシーンがありますが、サラに対してムーアがタジタジになっているシーンは面白いですね。

東地:基本的にムーアはサラのことが好きだというところがあって、シーズンの最後のほうでムーアがサラに告白するみたいな形になっているじゃないですか。サラはどう思っているかは知らないですけど、これは次のシーズンにどうなるのか期待しかないですよね。

――シーズン2も決定していますから期待大ですね。本気なのか分からないですが、ムーアがサラへ気軽にプロポーズするシーンもありますよね(笑)。

東地:気軽にさりげなくプロポーズしていましたよね(笑)。

内田:男ばっかりの中でサラの存在というのはすごく大きいと思います。

――サラ以外に気になるキャラクターはいますか?

内田:やっぱりセオドア・ルーズベルト総監ですね。実在の人物というのは大きいなと思います。実際にルーズベルトはニューヨークの警視総監を経て大統領になっていくわけで、まさに実在の人物ですからね。それに、サラという名前かどうか分からないんですけど、警察署で働いた最初の女性というのは確実に存在しているでしょうし。そういう意味では、綿密な時代背景や衣装にしても、実在の人物であるルーズベルトがいることによって、作品にリアル感がより増しているなとすごく感じますね。

東地:僕はコナー警部とバーンズ前総監ですね。コナーの小悪党ぶりというか、彼のせいで物語が悪い方向に向かって行くんですけど、物語としてはやっぱり必要な人物ですよね。コナーが全編を通してかき回してくれているからこそ、彼の悪の部分が存在することで面白い作品になっていると思います。

――すがすがしいほどにむかつくキャラクターですよね(笑)。

内田:俗物の代表みたいな感じですよ。でも、たぶんあの時代の警察署では彼がするセクハラが当たり前だったんでしょうね。コナーたちが主流だった中にサラが異色として存在していると。
それともう一人、僕はクライズラーの使用人メアリーですね。クライズラーとしてメアリーは外せないですよね。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、終盤のメアリーに起こる出来事は大ショックでした。メアリーは話せないのか、話さないのか分からない状態で登場するんですけど、それが話せないということが分かってくるシーンがあって、強烈なあの目力といい、存在感といい、すごく気になる人物ですね。

――お薦めシーンをあげるとしたら、どのシーンですか?

内田:僕としてはラストシーンはもちろんなんですけど、好きなシーンはクライズラーとサラが公園でベビーカーのそばにいる貴婦人を眺めているシーンですね。そこでクライズラーが貴婦人について語る内容があって、そのベビーカーの中を覗くか覗かないかというのが、ストーリーの中で深淵を覗くか覗かないみたいなものなんですよね。だから、すごいシーンだなと思って演じていた記憶があります。

――映像としてベビーカーの中が一切映らない演出も意味深ですよね。

内田:なぜあの話をサラに対してあのタイミングでするのかというクライズラーの心情をすごく考えて演じました。

東地:僕は一つのシーンではないんですが、最初に「耽美的」という表現がありましたけど、凄惨な殺され方みたいなショッキングなものだけを見せる作品ではないというところですね。確かにそういう怖いシーンは必要ですけど、それが端を発してどうにかして事件を解決しなきゃということで物語が加速していくんですよ。「こいつが犯人なのか!?」と思ってそのまま行くのか、それとも行かないのかというところは見どころですね。

――中盤のエピソードタイトルにもなっている謎の人物“シルバー・スマイル”が登場してからの展開は二転三転して目が離せなかったです。

内田:登場した時は「キター!」という感じでしたよ。歯が輝いているし(笑)。

東地:ムーアが聞き込みで調べて「そういうことか!」と分かってから、さらに物語が二転三転しますからね。

――クライズラーはエイリアニストとして悪人の心を突き詰めていきますが、最近、「コレを突き詰めていきたい」と思っていることはありますか?

内田:甘いものが大好きなので、おいしいお菓子の世界を突き詰めてみたいです。

――収録現場の休憩場所にも差し入れでお菓子がよくありますよね。

内田:おいしいと思ったらメモったりもしているんですよ(笑)。突き詰めたいということで言えばそれかな。

東地:僕はラーメンですね。2人とも食べ物になっちゃいましたけど(笑)。いろんな人に紹介してもらって食べに行くのが好きなんです。突き詰めているラーメン評論家とかになる気はないんだけど、より知りたいという気持ちがありますね。ラーメンとかって自分の好みなので、人がおいしいと言っても合わないとかあるので、自分が1番好きなラーメンってなんだろうというのはちょっと突き詰めていきたいですね。

内田:東地さんはラーメン好きですよね。おそば屋でもラーメンを食べてるもんね(笑)。

東地:そうですね(笑)。でも、そのお店は昔ながらの中華そばが有名なんですよ。だからそこに行ったら、そばは頼まないでラーメンなんです(笑)。

――DVDをご覧になる方々へ、メッセージをお願いします。

東地:この作品は“エイリアンニスト”ではありませんのでご注意ください(笑)。この世界観が好きな人はドハマりするような作品です。とにかく豪華で、予算をかけているというのは簡単な言い方ですけど、ドラマシリーズとしてはすごく豪華なキャストと映像なので、そこを楽しみに観て頂きたいです。それと、プロファイルの元祖はこういうことだったのではないかという設定とドラマ作りは間違いなく見どころなので、二転三転するストーリーとともにぜひ全10話を楽しんで頂いて、そしてシーズン2につながっていくと思うのでさらに楽しみにして頂ければと思います。

内田:最後になりますが、「こんにちは。私がエイリアニストです」(笑)。タイトルにもあるように謎解きの要素が多いんですけど、その謎解きと同時に人の心を解いていくというものがあります。いろいろなトラウマを抱えた人たちが登場して、そのトラウマの一歩先に踏み込んでいく話もあり、人間の再生の物語みたいな部分もすごく大きくあります。ただその一歩先に踏み込むかどうか、DVDでその一歩先を観るか、そこで一時停止してその先は観ないのか(笑)。それを決めるのはあなたですけれども、ただこの作品を観る時間は決して無駄にはならないと思います。

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